重力波望遠鏡“KAGRA”に高機能ステンレス鋼を納入

2018/03/12

新日鐵住金ステンレス株式会社(NSSC、東京都千代田区、代表取締役社長:伊藤 仁)は、東京大学宇宙線研究所が中心となり、自然科学研究機構国立天文台、高エネルギー加速器研究機構らと協力して建設を進めている、大型低温重力波望遠鏡“KAGRA”の極低温・超高真空装置向けに高機能・高品質ステンレス鋼を納入し、KAGRA計画に貢献しております。

KAGRAは、重力波による時空のひずみを観測する重力波望遠鏡であり、そのひずみを正確に捉えるために、日本独自の様々な高度先端技術が駆使されています。

当社のステンレス鋼は、
1. 重力波を検出するレーザー干渉計のレーザー光が通る超高真空(大気の1,000億分の1)ダクト用のステンレス製パイプ(全長3,000m、図1)の素材としてSUS304L(18Cr-9Ni-低C)厚板約600㌧、
2. 付帯の超高真空配管や容器類の素材としてSUS304(18Cr-8Ni)の厚板約100㌧、
3. 高純度単結晶サファイア鏡を保持し、制御用のアクチュエーターを取付ける「リコイルマス」と呼ばれる部材(図2)に、極低温非磁性高強度ステンレス鋼NSSC®130S(18Cr-6Ni-11Mn-0.3N)の鍛造丸鋼(直径340㎜x長さ270㎜)、
が採用されました。

中でも最重要部品のひとつであり心臓部と言えるリコイルマス用に採用されたNSSC130Sは、地磁気の影響を最小とするための極低温非磁性安定性、精密機械加工性、サファイア鏡と同程度の質量であること等の難しい要求特性を満足する点が評価され、採用に至りました。

KAGRAは、現在試験観測を終え、最終的な高性能化改修の最中であり、2019年度以降、本格的な観測を開始する予定です。KAGRAの本格稼動を通じ、当社製のステンレス鋼は、重力波天文学という新たな基礎科学の発展に貢献できるものと考えております。

なお、NSSC130Sはヒッグス粒子発見(2013年ノーベル物理学賞受賞)の舞台となった欧州原子核研究機構(CERN)の超伝導粒子大型ハドロン衝突型加速器(LHC)にも合計1万㌧以上使用されました。
※欧州原子核研究機構(CERN)の超伝導粒子大型ハドロン衝突型加速器(LHC)関する過去のプレスリリース https://nssc.nssmc.com/updates/news_jp/1799